特集 全国の病院に独自取材!病院への想いなどを伺いました。

※ この記事は、他の施設と比較して優良であることを示すものではありません。

岐阜大学医学部附属病院長 小倉 真治 岐阜県の救命救急の質を向上させ、救命率の上昇に貢献していきたい。

平成16年、岐阜県と岐阜大学医学部附属病院が協定を締結して同病院にヘリポートが設置され防災ヘリが稼動。

さらに平成23年には「岐阜県内どこにいても、日本で考えうる最高水準の救急集中治療を受けることができるようにする」という岐阜大学の理念のもと、岐阜県の要請を受けドクターヘリの運用を始めています。

高次救命治療センター設立に奔走した、岐阜大学附属病院長であり同センター長の小倉先生に、ドクターヘリの運用や、岐阜県の救急医療などについて、お話を伺いました。

chapter01 岐阜県と協定を結びドクターヘリの運航を開始。

ヘリポート設置の経緯を教えて下さい。

上空から眺める岐阜大学医学部附属病院

発端は平成6年、岐阜県において岐阜県防災航空隊が発足し、防災ヘリコプターの運航が始まったことにあります。

消防・救急救助業務や大規模災害時の応急対策の分野において、岐阜県内の消防機関との連携のもと、岐阜県の消防防災体制の充実強化を目的として運用が開始されました。

その後、平成16年に岐阜県と当院が協定を締結し、岐阜県版救急ヘリ(通称:ドクターヘリ)の試行運航を始めることになったのです。

当院のヘリポートが完成したのも同じタイミングで、併せて高次救命治療センターを設置し、岐阜県の救命救急医療の担い手として、より充実した設備が整ったのです。

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chapter02 屋上で給油できる、全国でも珍しいヘリポート。

ヘリポートの特徴を教えて下さい。

上空から眺める岐阜大学医学部附属病院ヘリポート

ヘリポートは当初、地上にはなく当院の屋上にあったため、屋上で給油できる設備を整えました。当時は日本でも稀な設備だったようです。

屋上に給油設備がなければ、給油のため、地上に降りる必要があります。

時間と燃料のロス、わずかではあるものの危険を回避させることを目的に、このような設備を整えました。

現在は、地上にもヘリポートと格納庫を整備しています。

朝は地上から飛び立ち、戻ってくるのは屋上、そして1日が終わると地上に降りて格納する仕組みになっています。

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chapter03 岐阜県の救急医療の『最後の砦』としての自覚。

高次救命治療センターとは、どのような組織ですか?

岐阜大学医学部附属病院 夜景

高次救命治療センターは、急性期重症患者の治療に当たる岐阜大学医学部附属病院の中央診療部門です。

病院内外で発生する重症患者様、他の医療機関・救急救命センターで対処できない高度な治療を必要とする患者様に対して、24時間体制で総合的かつ、集学的で高度な診断・治療を行なっています。

いわば岐阜県救急医療の『最後の砦』です。

それとともに地域住民、救急隊、病院を連携させた、病院に到着する前までの救護体制の整備を地域の中核病院として担っています。

また医学生、医師、看護師及び他の病院スタッフ、救急隊員に対して、臨床教育・研修を行ない、21世紀の医療を担う人材の養成を図っています。

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chapter04 重症患者の救命率の向上に、大きく寄与している。

同センターにおける、ドクターヘリの役割は何でしょうか。

ドクターヘリと岐阜大学医学部附属病院

外傷患者の死亡を減らすためには、搬送体制の整備が大きな問題です。

重症傷病者には、1時間以内に根本的な治療を開始することが救命率を高めることと大きな相関があるとされていますが、その治療開始までの時間の短縮にはヘリコプターの活用が極めて有効であることが認識されています。

当院は以前より防災ヘリをドクターヘリ的運用をした実績がありましたが、さらに、平成23年よりドクターヘリの基地病院として運航が開始されました。

患者様を当院に運ぶだけではなく、当院の救命救急医が現地に飛び、そのエリアにある病院で治療に当たることもあります。

これは病院間の連携がなければできませんが、一方でそれだけ、当院の救命救急医の技術レベルが、医師の間でも認知されていることの証明だと言えます。

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chapter05 できるだけ多く稼動し、より多くの方を救いたい。

ドクターヘリの稼働状況を教えて下さい。

ドクターヘリ

平成23年度は現場救急110件、病院間搬送114件に出動後のキャンセルを合わせて、計251件の稼動がありました。

平成24年度は計346件、平成25年度は406件と、稼動数は年々増え続けています。

これは一度ドクターヘリを呼んだ病院が、患者様が救われた経験をすることでまた呼ぶこと、またその事実を聞いた別の病院からも呼ばれるようになったことが理由です。

そうすると、その地域からの出動要請が増えていきます。

まだ出動要請数の多くない地域もありますから、これからはもっと増えていくのではないかと考えています。


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chapter06 医療の質を高めると同時に、医療の安全を確保する。

最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

岐阜大学医学部附属病院 正面

当院ではドクターヘリだけでなく、岐阜市と協定を結びドクターカー・ワークステーション事業も行なっています。

これはドクターヘリと同様に、重症患者を現場から治療するために医師が同乗して救急車を運行するというものであり、ドクターヘリとの両立によって、岐阜県における救命率を上昇させています。

現在、医療は様々な方面で発展し、複雑化しています。そのようななか、医学部附属病院に求められているのは、先進・高度医療とともに安全で質の高い医療ではないでしょうか。

岐阜大学医学部附属病院では、これからもさらに医療の質を高めていくと同時に、医療の安全を確保し、一人ひとりの患者様に対して最上級の医療を提供できるようにチーム医療の実践と医療人の育成を行なっていきます。

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