副鼻腔炎(蓄膿症)を軽症で治すコツ
通称「蓄膿症(ちくのうしょう)」と呼ばれる「副鼻腔炎(ふくびくうえん)」。
軽症のうちに治療すれば鼻水や鼻づまりといった症状だけで済むこともあるのですが、重症になると鼻の奥の部分にある副鼻腔で炎症が起こり、膿がたまると手術が必要になる場合もあるのです!
今回は副鼻腔炎の症状や、治療のコツについて解説します。
目次
副鼻腔炎(蓄膿症)とは
副鼻腔炎とは、鼻の奥の空洞である「副鼻腔」が炎症を起こし、膿がたまる病気です。
副鼻腔は大きく4つの部屋に分かれていて、眼の奥に「前頭洞(ぜんとうどう)」、頬の奥に「上顎洞(じょうがくどう)」、目頭の横に「篩骨洞(しこつどう)」、篩骨洞の奥に「蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)」が、左右ひとつずつあります。
これらの副鼻腔は鼻の穴からすべてつながっていて、呼吸の際に空気の通り道になっているのです。
この副鼻腔が炎症を起こし膿がたまると、空気が通りにくくなったり、内圧が上昇して頭痛や顔の痛みが起こったりと様々な症状が出ます。
副鼻腔炎の種類は、大きく分けて急性と慢性のふたつ。
「蓄膿症」は多くの場合、副鼻腔炎が慢性化した状態です。
■参考参照サイト:蓄膿症について知りたい|チクナイン - 蓄膿症・副鼻腔炎を治す|小林製薬
副鼻腔炎(蓄膿症)の原因
副鼻腔炎は、副鼻腔が炎症を起こすことによって発症します。
そのため、風邪や花粉症などで鼻が炎症するような状態に陥った場合に、その症状が長引けば長引く程、副鼻腔炎にかかるリスクが高まるのです。
それ以外にも、何らかの細菌に感染してしまい鼻が炎症を起こしてしまうことで、副鼻腔炎を発症することも考えられます。
ここからは、代表的な副鼻腔炎の原因をひとつずつ見ていきましょう。
風邪
風邪をひくと、鼻水や鼻づまりなど鼻に関する症状が出るという人は多いでしょう。
風邪によって鼻が炎症を起こし、それが副鼻腔まで広がった場合や、風邪の原因となるウイルスが副鼻腔内で炎症を起こした場合などは、副鼻腔炎の原因となります。
アレルギー症状
花粉症などのアレルギー症状でも、鼻の炎症は起こります。
こちらも副鼻腔へ炎症が広がった場合や、副鼻腔内で炎症が起こった場合には副鼻腔炎に至るので、アレルギー症状を抑える対策が重要です。
鼻の奥「鼻中隔」が曲がる
鼻には、鼻の穴から奥に向かって鼻をふたつに区切っている「鼻中隔(びちゅうかく)」という壁が存在します。
これが曲がってしまうことも、副鼻腔炎の原因のひとつです。
鼻中隔が曲がってしまっていると、空気の通りが悪くなったり粘膜が薄くなったりすることで鼻づまりや出血を引き起こしやすくなり、炎症の原因となります。
副鼻腔炎(蓄膿症)チェック
副鼻腔炎には、複数の特徴があります。
次の症状がいくつか出ている場合には、耳鼻科を受診してみましょう。
- 粘りの強い鼻汁が出る。熱がないのにドロドロした黄色い鼻汁が出る
- 常に鼻が詰まっている。鼻をかんでも解消されない
- 風邪はひいていない(治った)が、鼻水や咳・鼻声が続いている
- 常に変な臭いがする。口が臭くなった
- 鼻が痛い、頭痛がする、顔が圧迫された感じがする
- 食べ物などの臭いが分からなくなった
- なんとなくボーっとして集中できない
- ドロドロの鼻水が鼻から喉に垂れて流れる
■参考参照サイト:
副鼻腔炎(蓄膿症)の種類
副鼻腔炎の代表的なものは「急性副鼻腔炎」で、急性副鼻腔炎が慢性化したものが「慢性副鼻腔炎」と呼ばれるものです。
蓄膿症と呼ばれる症状は、一般に慢性副鼻腔炎に当てはまります。
これ以外に、子どもの副鼻腔炎や好酸球(こうさんきゅう)性副鼻腔炎、などの特殊な副鼻腔炎にも注意しましょう。
ここからは、副鼻腔炎の種類をひとつずつ解説します。
急性副鼻腔炎(急性の蓄膿症)
基本的に、副鼻腔炎の症状が出始めた段階では、そのほとんどが急性副鼻腔炎に当たります。
ただ、症状が鼻づまりや頭痛、咳など風邪症状と非常に似ているため、発見できず自然に治癒している場合も考えられますし、発見が遅れると重症化するケースもあるので注意が必要です。
症状が長引くようであれば耳鼻科を受診するようにしましょう。
慢性副鼻腔炎(慢性の蓄膿症)
急性副鼻腔炎が3ヵ月以上続き、慢性化したものを慢性副鼻腔炎と言います。
慢性副鼻腔炎になると嗅覚に変化が出たり、体全体にだるさを感じたりしますので、慢性化する前に治療することが大切です。
風邪症状がずるずる続くような場合は一度耳鼻科を受診してみましょう。
子どもの副鼻腔炎(蓄膿症)
子どもの副鼻腔炎は軽症で、自然治癒することも多いですが、一部では滲出性(しんしゅつせい)中耳炎などの耳の病気や喉の病気の原因になることがあります。
一般的に子どもの副鼻腔炎は7~8歳くらいをピークに改善されていきますが、引き続き改善が見られない場合や合併症が良くならない場合には、手術も選択肢に入れなければなりません。
子どもの手術はリスクも治療期間も長くなるので、なるべく避けたいところです。
好酸球性副鼻腔炎
好酸球性副鼻腔炎は、副鼻腔炎の原因が好酸球(白血球の一種)主体のものを指します。
以下が、好酸球性副鼻腔炎の主な特徴です。
- 多発性ポリープができる
- 嗅覚の異常が起こる
- 喘息を合併する
- 手術後に再発することが多い
- 薬物療法の効果が薄い
好酸球性副鼻腔炎はまだ治療法もじゅうぶんに確立されていないため、今のところ内視鏡下手術による治療が選択されています。
この好酸球性副鼻腔炎は、厚生労働省に平成27年7月1日から難病指定された病気です。
副鼻腔炎(蓄膿症)の症状
副鼻腔炎(蓄膿症)の主な自覚症状は、鼻づまりや顔(眼の奥や奥歯など)の痛み、嗅覚の変化などがあります。
また、「頻繁に咳が出る」「痰が絡みやすくなる」といった症状は、膿が喉に流れている場合に起きやすいものです。
風邪と症状が似ているため、「風邪だと思ったら実は副鼻腔炎だった」というケースもよくあります。
副鼻腔炎(蓄膿症)は他人にうつるの?
副鼻腔炎自体は、他人にうつることはありません。
ただし、風邪などの原因菌は感染しますので、原因菌の感染予防は必要です。
副鼻腔炎(蓄膿症)の診断
副鼻腔炎は、電子ファイバースコープなどで副鼻腔を確認することや、レントゲンやCTスキャンを用いることで診断します。
病院によって、どの程度まで検査をするかは異なりますので、耳鼻科を受診する前に調べておくと良いでしょう。
副鼻腔炎(蓄膿症)の治療
副鼻腔炎は、軽度の場合は自然治癒する病気です。
早期発見ができ、すぐに治療が始められるようであれば、大がかりな治療は必要ありません。
保存療法
もっとも一般的なのが、抗生物質や抗炎症剤を用いた治療です。
軽症であれば、何度も病院に通って吸引してもらったりネブライザー療法(薬液を含む細かい霧を吸入する)を行なったりすることもなく、すぐ完治に向かいます。
ただし慢性の副鼻腔炎になっている場合は、少し治療期間が延びることも考えられるでしょう。
■参考参照サイト:副鼻腔炎の症状、手術 | 細田耳鼻科
手術
副鼻腔炎の状態が悪い場合や症状が特殊な場合などは、手術が選択されます。
手術の方法は症状によって異なりますが、考えられるのは「内視鏡下副鼻腔手術」や「内視鏡下鼻腔形成改善術」、「拡大前頭洞手術」など。
しかしこれらは、一般的な副鼻腔炎ではほとんど選択されません。
ただ、現在は医学・医療機器ともに進歩しており、手術も内視鏡などを鼻の中に入れて切開するという比較的簡単な処置で済む場合が多いため、早ければ日帰りで帰ることもできます。
■参考参照サイト:副鼻腔炎(蓄膿症)の症状と治療法について|岩野耳鼻咽喉科
副鼻腔炎(蓄膿症)は、思っているよりも身近な病気です。
「自分は副鼻腔炎になったことがない」と思っていても、実は風邪と勘違いしていたり、症状がきつくないために気付かず放置しているだけだったりするかもしれません。
鼻の症状や喉の症状が続くときは、一度耳鼻科の病院を受診してみてはいかがでしょうか。
■参考参照サイト:
※この記事は、2017年12月時点の情報に基づいて作成されています。
※当サイトは原則「リンクフリー」といたしております。
監修医師プロフィール
産業医 山田

略歴
- 昭和30年
- 愛知県生まれ
- 昭和54年
- 愛知医科大学卒業
名古屋大学医学部予防医学教室入局 - 昭和60年
- 名古屋市職員健康管理センター所長
名古屋市産業医 - 平成5年
- 医学博士(名古屋大学)
- 平成6年
- 愛知医科大学助教授(産業保健科学センター)
- 平成8年
- 名古屋大学医学部講師(非常勤:予防医学)
- 平成12年
- エスエル医療グループ「栄内科」院長
なごや労働衛生コンサルタント事務所長 - 平成13年
- 愛知医科大学客員教授
- 平成20年
- 日本労働安全衛生コンサルタント会愛知支部長














