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中絶手術/ホームメイト
妊娠とは新しい命を授かることです。しかし、必ずしもすべての女性にとって喜べる妊娠とは限らず、様々な事情や状況によっては残念ながら「人工妊娠中絶(堕胎)手術」を選択せざるを得ない場合もあります。ここでは、人工妊娠中絶手術について紹介します。
中絶(堕胎)とは

人工妊娠中絶(堕胎)とは、「胎児が母体外において、生命を保持することのできない時期に、人工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出すること」(引用:母体保護法 )です。一般的には母体保護法指定医師に認定されている医師のもとで行なわれる手術です。
人工妊娠中絶手術について

日本では、「母体保護法」に人工妊娠中絶手術を受けることができる時期や方法などが規定されています。
人工妊娠中絶手術が可能な期間

人工妊娠中絶手術を行なうことが可能な期間は、母体保護法によって妊娠21週6日までと定められています。そのうち、妊娠11週目程度までに行なう中絶手術を「初期中絶手術」、それ以降に行なう中絶手術を「中期中絶手術」と言います。妊娠22週(5ヵ月半)を経過すると人工中絶手術を受けることはできません。その期間を過ぎた中絶は堕胎罪として処罰される可能性があります。
人工妊娠中絶手術の方法

初期中絶手術と中期中絶手術の場合では手術の方法が異なります。
- 初期中絶手術の場合
- 「掻爬(そうは)法」や「吸引法」という方法で行なわれます。「掻爬法」は子宮内の妊娠組織(胎児)を掻き出して体外に取り出す手術です。「吸引法」は吸引キュレットを子宮内部に入れて、子宮内の妊娠組織(胎児)を吸引する手術です。手術時間は10分程度なので日帰りも可能です。全身麻酔か下半身麻酔を施したうえで行なわれるので、痛みもほとんど感じません。
- 中期中絶手術の場合
- 妊娠12週以上を経過すると、胎児の大きさが100~300グラム程になっているため、陣痛促進剤などを使用して人工的に陣痛を起こして胎児を出産させます。手術とは言え出産と同じなので、通常出産と同程度の痛みを伴います。手術後は大量出血の恐れもありますので数時間経過観察が必要になりますが、日帰り入院でも可能です。
産婦人科やレディースクリニックの多くでは、手術が短時間で終わり、母体の負担が軽減できる妊娠12週(3ヵ月)以内(特に妊娠6~9週が最適)に受けることを推奨しています。
なお、どちらの手術の場合も、手術前夜11時以降は飲食禁止、手術当日はネイルやメイク、コンタクトレンズの装着も禁止されます。
手術の費用

診察は健康保険が適用されますが、中絶手術には健康保険が適用されませんので全額自己負担となります。費用は各病院によって異なりますが、初期中絶手術では7~15万円程度、中期中絶手術では20~30万円程度とされています。ただし、検査費用や薬代も別途必要になる他、手術の内容や母体の状態などによってはこれ以上に費用がかかる場合もあります。