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妊娠・出産を描いた小説



妊娠や出産を描いた小説は数多く存在します。妊娠から出産までをリアルにとらえた小説や、「妊娠・出産」「命とは何か」について考えさせられる小説など、様々な切り口から「妊娠」を扱う小説について紹介します。

『イルカ』(よしもとばなな著/文藝春秋)

『イルカ』(よしもとばなな著/文藝春秋)

よしもとばななさんは、どこにでもいるような等身大の女性の姿を描くことを得意とする作家です。そんな彼女が「妊娠・出産」をテーマに書いたのが、2006(平成18)年に発表された小説『イルカ』です。

主人公のキミコは作家で、33歳の女性です。結婚も出産もしておらず、五郎と言う男性のことが好きですが、彼には長く一緒に暮らしている内縁の妻がいて、キミコと真剣な交際や結婚にいたることはありません。そうした関係を終わらせようとしている矢先に自分が妊娠していることに気づき、五郎との子どもを出産するというストーリーですが、キミコも内縁の妻も、五郎の戸籍上の妻になろうとはしません。また、五郎はキミコと結婚はしないものの、子どもは認知し、父親であることを認めます。ここにはひと昔前には考えにくかった「新しい家族」のあり方が描かれており、子どもを核とした人と人のつながりについて考えるきっかけとなります。作者自身も発表時にはすでに出産を経験しており、出産のシーンの描写にも一定の評価が上げられています。

『妊娠カレンダー』(小川洋子著/文藝春秋)

『妊娠カレンダー』(小川洋子著/文藝春秋)

ベストセラーとなった小説『博士の愛した数式』(小川洋子著/新潮社)で知られる小川洋子さんが1991(平成3)年に発表したのが『妊娠カレンダー』です。主人公である「わたし」の姉が妊娠したことをきっかけにして始まる「わたし」の精神の変化が、「手記」という形式で語られます。つわりがひどいことを理由に、同居する自分に無理難題を押し付ける姉への密かな憎悪を描いた小説で、芥川賞受賞作でもあります。妊娠や出産の喜びと言うよりも、妊婦の周りにいる人々の心情を描いた作品と言えます。

「妊娠」というジャンルを別の角度からとらえた文学も

「妊娠」というジャンルを別の角度からとらえた文学も

文芸評論家である斎藤美奈子さんが37歳のときに発表した『妊娠小説』(筑摩書房)は、森鴎外『舞姫』や村上春樹さん『風の歌を聴け』(講談社)など、妊娠や出産、あるいは中絶に触れた小説を「妊娠小説」というジャンルとして分析した評論です。いわゆる妊娠小説とは異なりますが、女性にしか果たせない役割であり、男性には不可能な「妊娠・出産」について考えてみる新たな切り口になるかもしれません。