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【医師監修】蚊が運ぶウイルスによって感染する「デング熱」。高熱や発疹などの症状を引き起こし、死にいたることもある怖い病気です。デング熱は、海外旅行先で蚊に刺され、日本に帰国してから発症するケースも多い病気。そこで今回は、夏休みなどの長期休暇で旅行する際に気を付けたい「デング熱が流行している国」や、「デング熱の予防法」についてお話します。

モエとリサ
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デング熱予防は網戸や旅行先選びがポイント!?デング熱の症状まとめ

デング熱について

2014年の夏に、東京を中心に162人の感染者が出た「デング熱」をご存知でしょうか?

デング熱は、蚊を介して感染する感染症で、急激な発熱(38~40度)に始まり、眼窩痛(がんかつう)と呼ばれる目の奥の痛みや、頭痛、関節痛、筋肉痛や倦怠感(けんたいかん)などの症状が見られます。

デング熱の「デング」は、スペイン語でダンディーを意味する「denguero(デングエロ)」に由来すると言われている言葉。

デング熱にかかると背中がひどく傷むため背筋を伸ばして歩くことになり、その姿がダンディーに見えることから、「デング熱」と呼ばれるようになったと言います。

今年に入って、スリランカだけでも8万人以上が感染し、死者は200人を超えているデング熱。

流行の兆しを見せるデング熱についての知識をしっかり身に付け、デング熱の感染を予防していきましょう。

日本国内で感染者が増加傾向にある「デング熱」とは?

日本国内で感染者が増加傾向にある「デング熱」とは?

デング熱は、東南アジア、南アジア、中南米、アフリカなどの熱帯・亜熱帯地域を中心に流行しており、全世界では毎年3億9,000万人が感染していると、世界保健機関(WHO)は推計しています。

海外のデング熱が流行している国で感染し日本に帰ってきてから発症するという例が、日本では2017年から直近3年間で100名近くに上ると報告されており、流行した2014年を除くと、年々感染者は増加傾向にあるのです!

デング熱感染者のグラフ

■参考参照サイト:東京都感染症情報センター|デング熱の流行状況(東京都 2017年)

ここからは、デング熱の感染経路やワクチン、致死率などについてご紹介していきます。

デング熱の感染経路は?

デング熱の原因となるデングウイルスは、人から人へ直接感染することはありませんが、感染している人を蚊が刺すことで、その蚊がウイルスを持つことになります。

ウイルスを持つ蚊が、体内でウイルスを増殖させて、さらに他の人を刺すことで感染が広がっていくのです。

デング熱のワクチンはあるの?

デング熱のワクチンはあるの?

2015年末から2016年初めに、フランスの製薬会社サノフィが開発した「デングワクシア(Dengvaxia)」が、デング熱のワクチンとして流行地域の9~45歳を対象に数ヵ国で認可され、販売が開始されました。

しかし、日本ではまだ「デングワクシア(Dengvaxia)」は認可されていません。

■参考参照サイト:FORTH|最新ニュース|2016年|デング熱と重症型デング熱について (ファクトシート)(更新2)

デング熱の致死率は?

デング熱の致死率は?

では、デング熱にかかるとどれくらいの人が亡くなるのでしょうか?

2015年に、アメリカ大陸でデング熱に感染した患者は235万人で、そのうち0.43%(10,200人)の患者が重症型デング熱と診断されました。

その中の11.5%(1,181人)のデング熱感染者が亡くなったと報告されていますので、致死率は0.05%になります。

一方で、日本国内における新型インフルエンザによる致死率は0.16%なので、デング熱による致死率は高いとは言えないかもしれません。

しかし、重症化してしまうと死に至る可能性が高まってしまいますので、高熱や頭痛などデング熱を疑う症状が出たときには、なるべく早く病院で診察をしてもらうようにして下さいね。

■参考参照サイト:新型インフルエンザパンデミック総括|厚生労働省

日本国内のデング熱の状況

日本国内のデング熱の状況

2014年以前のデング熱の流行は、1942年から1945年にかけて。
太平洋戦争でデング熱の流行地域が戦場になったことから、神戸、福岡、長崎、佐世保、広島、呉、大阪などの西日本の諸都市でデング熱が流行したと言います。

ここからは、国内でデング熱が流行した事例を見ていきましょう。

■参考参照サイト:

公園閉鎖!2014年代々木公園でデング熱流行

公園閉鎖!2014年代々木公園でデング熱流行

2014年、代々木公園やその周辺を訪れた人達にデング熱が流行。
日本全国で160人が感染したとの報告がありました。

北海道から高知まで、全国各地から感染が報告されましたが、これらの患者に海外渡航歴はなし。
しかし感染者の多くが、東京都渋谷区の代々木公園、もしくはその周辺の地域に訪れていたそうです。

デング熱のウイルスを持った蚊が代々木公園に大量発生し、公園に訪れた人がこれらの蚊に刺されたことが、この国内感染の主な原因だと言われています。

代々木公園はイベントなども行なわれ、多くの人が集まる場所。
さらに自然が多く、ウイルスを持った蚊が生息しやすいこともあり、多くの人にデング熱を広めてしまう結果になりました。

デングウイルス持った蚊が見付かったあと、すぐに代々木公園は封鎖。
蚊を駆除する作業が行なわれ、開催予定だったイベントも中止となりました。

沖縄では過去に5回も流行しているデング熱

沖縄では過去に5回も流行しているデング熱

沖縄は、過去に何度かデング熱が流行した台湾に気候が近いためか、1893年秋以降にデング熱の流行が5回発生しています。

ただし、1943年に20名の感染者が出て以来、沖縄ではデングウイルス感染者は確認されていません。

通常、デングウイルスを媒介する蚊は、冬になると死滅するのですが、1年を通して気温差が少ない沖縄においては、夏場に限らず蚊が発生しているため、夏だけでなく冬でも蚊に刺されないように注意する必要があります。

■参考参照サイト:我国のデング熱流行の歴史|公益社団法人 東京都ペストコントロール協会

世界各国のデング熱の状況

世界各国のデング熱の状況

夏休みなどの長期休暇に、海外旅行に行きたいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし、アジア・大洋州においてデング熱が流行しており、外務省から2017年1月22日付けで、渡航者に注意を促す記事が発表されています。
ご自身の旅行先が含まれていないか、確認してみて下さいね。

海外安全ホームページ: 広域情報詳細

特にデング熱への注意が必要なのは、スリランカです

スリランカではデング熱が流行しており、2017年1月1日から7月7日にかけて、死亡者215人を含めて感染者が80,732人と報告されています。

日本人が渡航した際にデング熱の感染者が多い国ベスト3

「日本から渡航してデング熱に感染した人」が多かった国を、1~3位まで見てみましょう。

1位:インドネシア(バリ島を含む)

1位:インドネシア(バリ島を含む)

2016年のデング熱感染者は111人となっており、過去5年間感染者が増加傾向にあります。
また、先程記載した外務省が渡航者に注意を促すリストにも掲載されているため、インドネシアで人気のある観光地「バリ島」にお出かけされる際も気を付けて下さいね。

2位:フィリピン

2位:フィリピン

2016年のデング熱感染者は64人となっており、感染者が2番目に多い地域となります。
フィリピンも、外務省が渡航者に注意を促すリストに掲載されていますので、渡航の際には気を付けましょう。

3位:タイ

3位:タイ

タイも、外務省が注意を促すリストに掲載されている国です。
2016年のデング熱感染者は、24人。
過去5年間、同程度の感染者が確認されています。

日本人がよく行く観光地のデング熱の感染状況

ランキングで紹介した国だけでなく、日本人がよく行く観光地のデング熱感染についても確認してみましょう。

特に以下の国は、先程から出てきている「外務省が渡航者に注意を促すリスト」に掲載されています。

台湾

台湾

比較的日本から近く、観光する人の多い台湾。
2016年の感染者は0人ですが、過去には何度かデング熱が大流行している地域です。

ハワイ

ハワイ

日本人に人気のあるハワイ。
ハワイでも2015年から2016年にかけてデング熱の大流行があったのですが、現在の感染者数は少し落ち着いてきているようです。

インド

インド

2016年の感染者数は16人。
しかし、徐々に感染者が増えてきている地域となります。

海外に渡航される方は、長袖・長ズボンを着用する、虫除けスプレーを使用するなどの防蚊対策を徹底するとともに、体調管理で抵抗力を保ち、予防を心がけて下さいね。

■参考参照サイト:日本の輸入デング熱症例の動向について(2017年7月14日更新)

デング熱ウイルスを媒介する「蚊」は2種類いる

先程お話したように、デング熱は蚊が媒介する病気。

デングウイルスという病原微生物を保有している「ネッタイシマカ」「ヒトスジシマカ」という蚊が、人を刺すことで感染が広がります。

■参考参照サイト:デング熱の症状とデングウイルスを媒介するヒトスジシマカとは「蚊による感染症・デング熱2015夏」

デング熱の蚊の種類:ネッタイシマカ

ネッタイシマカはアフリカで生息が確認されているヤブカで、現時点では日本での生息は確認されていません。

デング熱の蚊の種類:ヒトスジシマカ

デング熱の蚊の種類:ヒトスジシマカ

沖縄県から東北地方まで広く日本国内に生息するヤブカで、このヒトスジシマカによるデングウイルスの媒介も認められています。

■参考参照サイト:デング熱国内感染事例発生時の対応・対策の手引き|国立感染研究所

デング熱を媒介する蚊(ヒトスジシマカ)の発生時期とピーク

デング熱を媒介する蚊(ヒトスジシマカ)の発生時期とピーク

■参考参照サイト:vol.6 虫を通しにくい風が通る網戸へ | YKK AP株式会社

ヒトスジシマカは体長4.5mm前後の、黒と白の縞模様が特徴の蚊。

発生時期は5~11月とされており、8月に発生のピークを迎えます。

ヒトスジマカのピークのグラフ

普段は花の蜜などを吸って生活していますが、メスだけが産卵のための栄養源として吸血を行なうのです。

ヒトスジシマカは、空き缶に溜まったような少量の水でも卵を産み、繁殖することができますので、ウイルス媒介するヒトスジシマカの繁殖を避けるためにも、飲みかけの空き缶やペットボトルは、必ずゴミ箱に捨てるようにして下さいね。

デング熱の症状

デング熱の症状

ここからは、デング熱の症状についてご紹介していきます。

デング熱の病原体となるのは、フラビウイルス科フラビウイルス属に属する「デングウイルス」

デング熱の特徴は、突然の高熱と、その後に起こる激しい頭痛や関節痛です。

インフルエンザと比べると致死率は低い病気ですが、まれに重症化して、発熱2~7日後に「デング出血熱」や「デングショック症候群」を発症してしまうと、死に至る可能性があります。

デング熱の初期症状とは?

デングウイルスの潜伏期間は、通常2~14 日(多くは3~7日)。
突然の高熱から発症します。

ウイルスの潜伏期間は特に自覚症状がないことが多いもの。
その後、突然の高熱や頭痛などの、インフルエンザのような初期症状が起こる場合が多くなります。

デング熱の症状:急な発熱

突然、38~40℃の急激な発熱を発症。
通常、2~7日で解熱します。

デング熱の症状(発疹)

デング熱の1番の特徴が、解熱後の発疹です。

デング熱はインフルエンザの症状に似ているのですが、インフルエンザとの大きな違いは、目の奥の痛み(眼窩痛)と熱が下がったあとに体中に発疹ができること。

発症の3~4日後には胸部や体幹から始まる発疹が出現して、顔面や四肢にも広がっていきますが、症状は1週間程度で回復します。

デング熱の症状:痛み(特に激しい頭痛や、全身の筋肉痛と関節痛)

デング熱の症状を発症してからは、頭痛や目の痛み、顔面紅潮や結膜充血を伴いながら、2~7日間発熱が続く場合が多いでしょう。

また、全身の筋肉痛や関節痛、全身倦怠感といった症状を伴うこともあります。

デング熱の症状:喉の痛み

デング熱で喉の痛みが出ることは少なく、喉の痛みがある場合はデング熱の可能性は低いと言われています。

しかし、まれにデング熱でも喉の痛みが出ることもありますので、油断しないようにしましょう。

■参考参照サイト:デング熱発症者の特徴は白血球と血小板の減少:日経Gooday(グッデイ)

デング熱の症状:デング出血熱

感染者の一部において突然、血液中の液体成分(血漿:けっしょう)が漏れたり、解熱時に出血の症状が見られたりすることがあります。

その内の10~20%の割合で、鼻出血や消化管出血などが見られ、症状の悪化によりショック症状を起こす「デングショック症候群」を引き起こすことも…。

重症化した場合でも、適切な治療が行なわれれば回復する場合が多いため、デング熱を疑う症状が出た場合は、すぐに内科の病院で診察を受けるのがおすすめです。

※病原体のデングウイルスは、4つの血清型が存在し、違う血清型を持った蚊に刺されるとデング出血熱の様に重症化しやすいと言われています。

■参考参照サイト:

デング熱が疑われる場合、解熱剤には要注意!

デング熱が疑われる場合、解熱剤には要注意!

デング熱に対する治療薬は、日本では現在市販・処方されないため、体内からデングウイルスが消失するまで、症状を取り除いたり緩和したりするための対症療法が主な治療方法となります。

しかし、デング熱の場合、アスピリンや類似薬のような鎮痛解熱剤は、逆に症状を悪化させてしまうことも。

デング熱の対処に有効な解熱剤

×
アセトアミノフェンが含まれる市販薬 ・サリチル酸系
・アスピリン

デング熱が疑われる場合、自己判断で服薬を行なわず、必ず病院で診察を受けるようにして下さいね!

デング熱を予防する方法とは?

デング熱を予防する方法とは?

今現在、デング熱のワクチンは日本では処方されていません。

そのため、まず蚊に刺されないようにすることがとても大切になります。

デング熱予防「蚊に刺されない5つの方法」

  1. 蚊に刺されないように、虫除け剤を2~3時間おきに塗布する
  2. 蚊の繁殖を避けるため、雨水や鉢植えのお皿の水を放置しない
  3. 屋外で活動する場合は、長袖、長ズボンの着用で肌の露出をできるだけ避ける
  4. 蚊が室内に入らないよう、戸や窓の開け閉めを減らし網戸やエアコンを使用する
  5. デング熱が流行している海外へ渡航する際は、設備が整った(網戸の設置や必要な清掃が行なわれているなど)宿泊施設を利用する

■参考参照サイト:

いかがでしたか?

もし突然の高熱や頭痛、関節痛や筋肉痛、発疹などのデング熱の感染が疑われる症状が出た場合は、自己判断で薬を飲んだりせず、病院での診察を受けるようにして下さい。

最後に、蚊が家に侵入してこないための網戸の使い方をご紹介致します。

デング熱の蚊予防「正しい網戸の使い方」

1.窓を全開にする場合

窓を全開にする場合

窓ガラスと網戸のあいだに隙間がなくなり、蚊の侵入を防ぐことができます。

2.窓を半開にする場合(網戸が右側)

窓を半開にする場合(網戸が右側)

この場合も、窓ガラスと網戸の隙間をなくすことが可能です。

3.窓を半開にする場合(網戸が左側)

窓を半開にする場合(網戸が左側)

奥の窓ガラスを半開にすることで、窓ガラスと網戸のあいだに隙間ができてしまい、蚊が侵入することができてしまいます。

■参考参照サイト:夏のヒント「虫と上手に付き合う」 | 窓辺のヒント~快適・健康的な暮らし~ | YKK AP株式会社

先程お伝えした通り、デング熱のワクチンは日本では提供されておらず、治療薬もないため、蚊に刺されないようにすることが唯一の予防方法です。

デング熱に関する正しい知識を身に付けた上で、デングウイルスの感染予防に努めて下さいね!


リサ
モエちゃん、テスト終わったの?

小林モエ
うん!テスト頑張ったよぉ。

リサ
そっか!モエちゃんはこの夏休み、どこか行くの?

小林モエ
まだ、何も考えていなくて~。

リサ
今からだともう、国内も海外もホテルや飛行機の予約がいっぱいだよね。

小林モエ
うん、でも「デング熱」が怖いから家にいるつもりなの。
家の戸閉まりして、蚊帳(かや)の中で今年の夏は過ごそうと思っているの!

リサ
それだと今年の夏、全然楽しくないと思うよ、きっと…。

■参考参照サイト:

※この記事は、2017年8月時点の情報に基づいて作成されています。

監修医師プロフィール

産業医 山田 琢之たくじ 先生 (エスエル医療グループ栄内科

エスエル医療グループ栄内科 院長 山田 琢之先生

略歴

昭和30年
愛知県生まれ
昭和54年
愛知医科大学卒業
名古屋大学医学部予防医学教室入局
昭和60年
名古屋市職員健康管理センター所長
名古屋市産業医
平成5年
医学博士(名古屋大学)
平成6年
愛知医科大学助教授(産業保健科学センター)
平成8年
名古屋大学医学部講師(非常勤:予防医学)
平成12年
エスエル医療グループ「栄内科」院長
なごや労働衛生コンサルタント事務所長
平成13年
愛知医科大学客員教授
平成20年
日本労働安全衛生コンサルタント会愛知支部長

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