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【医師監修】腸がコレラ菌に感染することで下痢や嘔吐を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもある「コレラ」。中東などでパンデミックが発生しているというイメージが強いかもしれませんが、日本でも過去にコレラが流行したことはありますし、現在も感染する可能性がゼロになったわけではありません。今回はコレラの感染経路や、予防法についてお話します。

モエとリサ
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パンデミック!コレラの感染経路や見分け方、予防法「緊急まとめ」

コレラは処置が大切

こんにちは!
HMR大学医学科1回生の小林モエです。

突然ですが、皆さんは中東のイエメンで「コレラ」パンデミック(爆発的流行)を起こしていることをご存知ですか?

2017年8月現在、イエメンのコレラ患者数は60万人以上。

内戦が続くイエメンでコレラ感染が拡大しているのは、空爆などによって医療・保険・衛生施設などのインフラが破壊され、適切な治療と予防が行なわれていないことが大きな要因です。

2017年7月12日の時点で、少なくとも1,740人がコレラによって死亡したと、国連のオブライエン事務次長が発表しています。

コレラ感染は遠い地での出来事と思いがちですが、過去には何度も日本でコレラが流行していたことをご存知ですか?

また、海外滞在によって感染する以外にも、実は、輸入食品を通じてコレラに感染する場合もあるんです!

今回は「コレラ」の見分け方や検査法、治療法、予防法などについてお話したいと思います。

コレラとは

コレラとは

コレラとは、重度の腸の感染症で、コレラ菌で汚染された水や食べ物を摂取することなどによって経口感染します。

コレラ菌のほとんどは胃酸によって死滅するのですが、以下に当てはまる方は注意が必要です。

  • 消化機能の弱い乳幼児や高齢の方
  • 消化機能が低下していたり、胃酸を抑える薬を服用していたりする方
  • 胃を摘出されている方

感染のほとんどは発展途上国においてですが、過去には日本でも大流行したことがあるのを知っている方も多いのではないでしょうか?

日本で初めてコレラが流行したのは文政5年(1822年)とされ、明治時代まで度々流行し多くの犠牲者を出しました。

従来のコレラ「古典型」

従来のコレラ「古典型」

ただ、19世紀に日本で流行したコレラは「古典型」と呼ばれ、現在流行している「エルトール型」とは異なるものです。

古典型はエルトールが型よりも産生する毒素が強く、比較的健康な方でも感染する上に、症状の悪化も激しかったと言われています。

現在では「古典型」の感染はバングラディシュとインドの一部地域に限られているようです。

新流行のコレラ「エルトール型」

新流行のコレラ「エルトール型」

現在流行している「エルトール型」のコレラは、健康な人なら感染しても症状が出ないことも多く、出たとしても軽度なため、死亡率も2%前後と言われています。

しかしイエメンでは内戦によって適切な処置がなされず、栄養不良の人が多いため、死亡者が多く出ている状況なのです。

コレラは感染状況や、処置できる環境の有無によって、さらに危険度が高くなる菌と言えます。

また、アジアを中心に流行しているコレラは「エルトール型」にもかかわらず、「古典型」の強い毒素を産生しているという報告も。

こちらも、被害が大きくなっている原因と言われています。

コレラの感染経路

コレラの感染経路

コレラ菌は淡水や、淡水と海水が混在する場所に生息していて、コレラ菌に汚染された水や加熱不十分な食料を摂取することによって経口感染します。

しかし、すべてのコレラ菌がコレラの症状を引き起こすわけではありません。

「コレラの原因となるO1型の大部分と、O139型の一部」のうち、胃酸で死滅せずに腸に定着したコレラ菌が、コレラ毒素を産生した場合に限り、コレラを発症します。

また、感染した人の便や、吐いた物にもコレラ菌は生息。

それらに触れたあとに徹底した手洗いなどの適切な殺菌を行なわないと、付着した菌によって経口感染する可能性があります。

現在の日本国内で感染することはごく稀で、日本在住の方が発症した例では、海外旅行において感染していることがほとんどです。

ただ、コレラ菌が常在菌化している国の缶詰などの輸入食品からも感染した事例があるとのことで、じゅうぶんに気を付けて下さい。

コレラの症状

コレラの症状

ここでは、コレラの症状について詳しく見てみましょう。

コレラの潜伏期間

コレラが発症するのは平均して、感染後数時間~5日の間と言われています。

最も多いのは1日前後で発症するケースです。

発症後のコレラの症状

発症後のコレラの症状

現代のコレラ菌で症状が出た場合、まず起こるのは軽度の下痢や嘔吐。

さらに症状が進むと、声のかすれ、頻脈、粘膜の乾燥、低血圧、渇きといった症状が起こり、重症化すると米のとぎ汁のような水溶性便が大量(1日十~数十リットル)に排泄され、脱水症状に陥ります。

そのまま進行すると、意識障害や痙攣などが見られ、治療が遅れると死亡に至ることも。

症状が重症化した人の多くに発熱は見られず、眼球の陥没、皮膚弾力の消失、指先の皮膚にしわが寄るなどの症状が見られます。

コレラ菌の検査

コレラ菌の検査

コレラの検査を行なうのは、主に内科。

まず感染の疑いがある人の便からコレラ菌が検出されれば、コレラ毒素の有無を調べます。

検査にかかる日数は大体2~3日。

あわせて、脱水症状や腎機能を調べるために血液検査や尿検査も行なわれます。

コレラの治療

コレラの治療

ここからは、コレラの治療法について確認していきましょう。

コレラの治療の基本は水分・電解質補給

水分と電解質の補給が行なわれない状況下では、コレラの死亡率は約50%。

しかし、水分と電解質の補給をすれば死亡率は1%以下に下がると言われているため、とても重要なのです。

どうしても口から水分を摂れない場合は点滴をしますが、一般的には経口補水液(ORS)を治療として飲ますことが多くなっています。

ORS=Oral Rehydration Solution(経口補水液)とは
水分と電解質をすばやく補給できるように塩と糖分を一定の濃度に溶かした飲料です。発展途上国では、コレラ感染による下痢に伴う脱水状態時に使われ、多くの子ども達の命を救ってきました。欧米各国でもORSに関するガイドラインが策定され、軽度から中等度までの脱水症への使用が推奨されています。
ORSは、簡便で家庭でも使用できることから、小児はもちろん、高齢者や脱水症を起こしやすい方にもお勧めです。

※オーエスワンは、WHOの提唱する経口補水療法の考え方に基づいた飲料で、その組成は、経口補水療法を発展させた米国小児学会の指針に基づいています。

■引用元:株式会社大塚製薬工場|ご使用になる方へ 脱水状態時にオーエスワン!

コレラの治療薬

コレラの治療薬

コレラの治療に薬が使われることはあまりなく、点滴による水分と電解質の補給が中心です。

しかし重症患者の場合には、下痢と菌の排泄期間を短縮することを目的として、それぞれに適した抗生物質の投与が推奨されています。

症状自体は約3〜6日でおさまり、大抵は2週間でコレラ菌が排出されますが、症状が軽くなってもすべての細菌が排出されたわけではありません。

この場合には、コレラ菌の保菌者(キャリア)となり、家族や周りの人にまでコレラが感染するリスクがあります。

もしコレラに感染してしまったら、2次感染予防と適切な処置を受けるため、必ず病院へ行きましょう。

脱水症状が起きてしまうと動けなくなることもありますので、早めに内科の病院を受診することが大切です。

また、吐いた物や排泄物にコレラ菌が含まれるため、患者本人と介助する人は手洗いや衣服の除菌など、しっかりとした除菌行為をする必要があります。

コレラの予防

コレラの予防

コレラへの安全対策

コレラを予防するためには、まずコレラ流行国になるべく行かないようにすることが大切ですが、もしどうしてもそれらの国に行かなければならない場合は「生水、氷、生の魚介類」の飲食は避けるようにしましょう。

直接食べたつもりがなくても、氷の上に飾られたカットフルーツを食べたことや、プールの水を誤飲したことによって感染した例もあります。

また、手洗いもコレラの予防に有効と言われているので、こまめに行ないましょう。

コレラの流行地域

コレラの流行地域については、下記に詳しく記載されています。

■参考参照サイト:

コレラ流行国からの輸入品の飲食物に気を付ける

流行国の最新情報を調べ、輸入品の飲食物にも注意する必要があります。

流行国へ注意を払い、衛生面に気を付けることが何よりの予防となるのです。

コレラのワクチン

コレラのワクチン

コレラを予防するワクチンは現在、2種類の経口の物が接種可能です。

しかしワクチンでじゅうぶんな免疫が得られるわけではないため、旅行者への推奨はされていません。

また、コレラの予防接種を入国条件としている国もないため、接種する場合は自己判断で行ないます。

■参考参照サイト:コレラ | 日本旅行医学会

日本で流行する可能性が低くなったとは言え、世界ではまだコレラ感染による死亡者が多く出ていますし、油断はできません。

コレラ流行国への渡航はなるべく控え、食品や衛生管理にしっかりと注意を払うようにしましょう。


小林モエ
コレラって撲滅されていなかったんだね。

リサ
もともと自然界にいる細菌だから、撲滅はなかなか難しいだろうね。
衛生状態によっては今でもじゅうぶん、感染の危険性があるんだよ。

小林モエ
世界史の授業でコレラについて習ったときは、すごく怖かった記憶があるよー。

リサ
歴史では、「コレラ=死神」と言われるくらいすぐに命を落としてしまう怖い病気だったもんね。

小林モエ
「古典型」のコレラだね。古典型も撲滅されたわけではないし・・・

リサ
日本は適切な処置ができる施設が多いけど、海外は色々な事情もあって大変だね。

小林モエ
一刻も早く、世界中の人が適切な処置を受けられるようになると良いね。私もがんばらなくちゃ!

■参考参照サイト:

※この記事は、2017年8月時点の情報に基づいて作成されています。

監修医師プロフィール

産業医 山田 琢之たくじ 先生 (エスエル医療グループ栄内科

エスエル医療グループ栄内科 院長 山田 琢之先生

略歴

昭和30年
愛知県生まれ
昭和54年
愛知医科大学卒業
名古屋大学医学部予防医学教室入局
昭和60年
名古屋市職員健康管理センター所長
名古屋市産業医
平成5年
医学博士(名古屋大学)
平成6年
愛知医科大学助教授(産業保健科学センター)
平成8年
名古屋大学医学部講師(非常勤:予防医学)
平成12年
エスエル医療グループ「栄内科」院長
なごや労働衛生コンサルタント事務所長
平成13年
愛知医科大学客員教授
平成20年
日本労働安全衛生コンサルタント会愛知支部長

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